福岡県田川市の村上卓哉市長からセクハラ被害を受けたとして元秘書の女性職員が訴えていた問題で、市が設置した第三者調査委員会は2026年5月18日、調査報告書を市側に提出し、市長による4件の行為をセクシュアルハラスメントに該当すると認定しました。同日、調査委員長が記者会見で報告書の内容を説明しました。
続きを読む: 田川市長の4行為をセクハラ認定・第三者委が報告書公表/福岡この問題は、田川市長の秘書業務を担当していた50代の女性職員が、村上市長から交際を強いられたとして「不倫ではなくセクハラ被害を受けた」と主張し、昨年3月に市の公平委員会に申し立てたものです。公平委員会のあっせん案に基づき、市は昨年7月に外部の弁護士で構成する第三者委員会を設置しました。委員会は当事者や他の職員へのヒアリングなどを行い、職員に対するハラスメント行為があったかどうかについて調査を進めてきました。
村上市長はこれまで、女性職員との関係を「不倫関係だった」と主張しており、昨年2月の記者会見でその旨を明らかにし謝罪していました。第三者委員会の調査に対し市長は、「職員の仕事ぶりや性格などを日々目にして引かれるようになった。公用車で手を握った際、職員は抵抗せず、少なくとも自分のことを嫌っていないと思った。いつかは約束できないが、職員と一緒に生きていきたいと考えていた」などと述べたとされています。
18日午前10時すぎ、田川市の安藤正之副市長が第三者委員会から調査報告書を受け取りました。報告書では、市長から職員に対する暴力的な言動は認められず、職員が明示的・外形的に抵抗や拒否をした事実も認められないとする一方、市長と職員の間には職務上の圧倒的な力関係の差があり、職員が不快に感じながらも意思を明確に示せない状況はあり得ると指摘しました。
セクハラと認定された4件の行為は、公用車内で職員の手を握ったこと、カラオケ店でキスや体に触れたこと、市長が職員に再三にわたり性交渉を迫り最終的に職員が受け入れたこと、その後も関係が続いたことです。報告書はこれらについて「職員の任意の同意は認め難く、セクシュアルハラスメントに該当すると判断せざるを得ない」と結論づけました。
調査委員長は会見で、「対象職員が市長の肉体的接触に対して明示的に抵抗したり嫌がった行動をしていないという点はあったが、そのことを根拠に自身に好意があるのではないかと安易に考えて、行動をエスカレートさせた事実が本件の最大の要因として考えられる」と述べました。また、「声を上げられないとか、上げても仕方がないといった、職員全体のハラスメントに関する意識や組織風土それ自体に問題の本質があるのではないか」とも指摘しました。さらに、「市長は民意による信頼と期待を受けて市政を負託された立場にあり、職員がいきいきと市民のために働く職場環境を構築する責務がある」と述べました。
報告書はさらに、ハラスメント事案について通報・相談しづらい組織風土だったことや、市のハラスメント相談窓口の体制・機能が不十分だったことも問題の原因として挙げました。その上で、市長らのハラスメントを禁止する条例の制定や外部相談窓口の設置などを再発防止策として提言しています。
報告書の公表を受け、女性職員は「訴えが認められてほっとしました。セクハラを公表して本当に良かった、間違いではなかったと思います」と述べました。また、「職場で相談しようと何度も思ったが、職場の雰囲気が壊れるかもしれないと思い言えなかった。権力者と戦うことはこんなに大変なのかと途中でくじけそうになり、すごく怖かった」と振り返りました。代理人弁護士を通じたコメントでは「認めていただいたことで前を向いて歩いていける」「第三者委員会からの提言を受けて田川市役所には変わってほしいと心から願っている」としています。
村上市長は報告書の公表を受け、「市民の皆様や関係者の皆様にご心配とご迷惑をおかけしたことに改めて深くおわび申し上げたい。報告書の内容について具体的な確認をできておらず、今後については整理が済み次第、改めて報告したい」とするコメントを発表しました。

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